2012年10月16日火曜日

通信線路H24-1Q4(2)(ⅱ)

[光ファイバの損失特性など]
A 物質中の分子密度の揺らぎは、物質の固化温度に比例して増大することから、低融点の材料を用いて光ファイバを製造することにより分子密度の揺らぎを少なくすることができる。分子密度の揺らぎによる散乱は波長の4乗に反比例2乗に比例し、この散乱はレイリー散乱といわれる。

B 石英系光ファイバの損失は、波長が短くなるとSiO2の電子のバンド間遷移による紫外吸収吸収損失が主な要因となり、波長が長くなると赤外のSiO2の分子振動による赤外吸収レイリー散乱が主な要因となる。

C 伝送システムで使用される光ファイバに曲がりが生ずると、コアとクラッドの境界に入射する光の角度が臨界角より小さくなるため全反射されず、一部の光が外へ放射される場合がある。この放射された漏れ光が損失となり、一般に、曲げ損失といわれる。ただし、入射角及び臨界角は、コアとクラッドの境界面の法線と光のなす角度をいう(正しい)。

通信線路H24-1Q3(2)(ⅰ)

[分散制御光ファイバについて]
① 石英系SM光ファイバは、一般に、低分散領域が1.31[μm]近傍に、低損失領域が1.55[μm]近傍にある。1.55[μm]近傍で零分散を実現するには、比屈折率差と構造分散パラメータを大きくすることにより、構造分散を大きくし、材料分散と相殺させる方法がある(正しい)。

② 分散フラット光ファイバは、材料分散と符号の反転した構造分散を形成することにより実現でき、一般に、材料分散は波長に対して急な勾配を持っているため、構造分散パラメータが波長に対して平坦でない特性を持った構造となるものが用いられる。

③ 1.31[μm]近傍で零分散となる光ファイバを用いて1.55μm帯の伝送を行うと、損失よりも分散が中継間隔を制限する主要因となる。中継間隔を延長するためには、1.55μm帯で符号が逆の分散特性を持つ光ファイバを接続して分散を相殺する方法がある(正しい)。

④ WDM方式に分散シフト光ファイバを用いると、四光波混合の影響が問題になることがある。解決策としては、信号光の周波数間隔を不均等に配置する方法、伝送帯域における分散を零にしないで四光波混合の発生しにくい範囲で分散を小さくしたノンゼロ分散シフト光ファイバを用いる方法などがある(正しい)。
[四光波混合]
 光ファイバで分散がゼロとなる波長近辺で,光信号が干渉して本来の光信号の近辺に光信号が発生することをいう。