2012年8月31日金曜日

線路設備H21-1Q1(2)(ⅲ)

[光ファイバについて]
A モードフィールド径とは、シングルモード光ファイバの径方向の光強度分布がガウス型で近似できるとき、光強度が最大値に対して1/e^2になる直径をいう(正しい)。

B 光ファイバの光損失には、吸収損失、レイリー散乱損失放射損失などの光ファイバ固有の損失と、レイリー散乱損失放射損失、接続損失などの光ファイバを通信システムに組み入れたときに付加される損失に大別される。
・曲げによる放射損失(以下の画像参照)
C シングルモード光ファイバでは、モード分散がなく材料分散と構造分散が伝送帯域を制限する主要因となり、一般に、材料分散より構造分散構造分散より材料分散の方が大きい。
・大きい順:もう在庫(モード分散、材料分散、構造分散)がないよで覚える。

線路設備H21-1Q1(2)(ⅱ)

[受光素子について]
① 受光素子で生ずる雑音としてショット雑音があるが、APDとPDを比較すると、一般に、PDAPDの方がショット雑音が大きくなり、受光感度が悪くなる。

② 光を電気に変換する方法には、光を直接電気信号に変換する方法と、光のエネルギーをいったん熱エネルギー変換し、これを電気出力として検出する方法がある。光通信には、一般に、光を直接電気信号に変換する方法光のエネルギーをいったん熱エネルギー変換し、これを電気出力として検出する方法が利用されている。

③ APDは、なだれ増倍作用により信号出力を増倍する機能を持っており、この増倍率は、印加電圧の制御によって変化させることができる(正しい)。

④周波数応答速度などの特性は、APDよりPDPDよりAPDの方が良いが、APDはPDPDはAPDと比較して動作電圧が低い、価格が安いなどの利点がある。

・APDは高性能だか高価。PDはいまいちだが安価。

線路設備H21-1Q1(2)(ⅰ)

[発光素子について]
① 発光素子への要求条件としては、高出力であること、光ファイバとの結合性が良いこと、応答速度が速いこと、光出力-電流特性の直線性が良いことなどがあげられる(正しい)。

② LDは、LEDと比較して発光スペクトル幅が狭いため、材料分散及び構造分散の影響が少なく、広帯域伝送が可能である(正しい)。

③LEDは、LDと比較して光出力が小さいが、構造が簡単であることから製造が容易である(正しい)。

LEDは、LDLDは、LEDと比較して光の指向性が良いため、光ファイバとの結合損失が小さい。また、応答速度が速いため、高速伝送に適している。

線路設備H21-1Q1(1)

[光ファイバによるバックボーンネットワークシステムについて]
 大都市を結ぶ伝送路は、大量の情報をやりとりすることから、伝送容量も極めて大きい。このような伝送路は、通信ネットワークのバックボーンを形成することから、基幹伝送系といわれる。
 バックボーンネットワークシステムは、基本的には光ファイバケーブル、送信器及び受信器で構成される。送出された信号は、伝送媒体固有の損失により、伝搬するに従って次第に減衰するため、長距離伝送システムでは、SN比が一定値以下とならないように適当な間隔に中継器を設置する。
 伝送距離が長くなると、光ファイバケーブルや中継器などの設備が増え、伝送コストが増加する。また、一人が1本の伝送路を占有して情報を伝送する方式は莫大なコストを要するため、複数(N)人で伝送路を共用し、伝送コストを1/Nとする方法が用いられる。これを多重伝送という。
 多重伝送では、多重化された信号相互間で干渉が起こらないように、周波数領域あるいは時間領域などで多重・分離操作を行って、1本の伝送路で複数の通信路を確保している。このような独立の通信路をチャネルといい、一度に多重可能なチャネル数は、多重度といわれる。

通信線路H21-2Q5(2)(ⅱ)

[光ファイバ通信システムの品質劣化要因など]
A 光ファイバ増幅器を用いた場合、信号光にASE雑音が混入する。ASE雑音や信号波形の劣化が大きいと、識別再生の段階で誤った符号判定が行われ、伝送品質が確保できなくなるおそれがある(正しい)。
・光ファイバ増幅器は、誘導放出によって信号光を増幅するが、自然放出によりASE(自然放出光)雑音が発生する。

B 光の量子的な揺らぎにより生ずるショット雑音、電子回路素子から発生する熱雑音及び暗電流による雑音は、発光受光素子で発生する。
・熱雑音とは、抵抗体内の電子の不規則な熱振動 によって生じる雑音をいう。

C 通信で用いられる光は波長スペクトルに広がりを持つため、波長ごとに光ファイバを伝搬する時間が異なることに起因する波形劣化が生ずる(正しい)。

通信線路H21-2Q4(2)(ⅱ)

[地下埋設物の電食防止方式]
A 流電陽極方式では、絶縁電線を用いて被防食体よりもイオン化傾向の小さな大きな金属を被防食体に接続し、その組み合わせにより形成される電池作用を利用して被防食体を保護している。
・被防食体の代わりに、イオン化傾向の大きな金属を腐食させて、被防食体を保護している。

B 外部電源方式では、被防食体を外部に設置した直流電源装置の正極負極につなぐとともに、地中に取り付けた電極を負極正極に接続し、被防食体から流出する電流を打ち消して被防食体を保護している。
・被防食体から流れ出る電流を、正極に取り付けられた電極から補充

C選択排流方式では、被防食体から大地へ電流を流出させないために、電流の逆流を阻止し一方向だけ選んで排流する機能を持つ選択排流器を介して、直流電気鉄道の軌道などに直接電流を戻すことにより被防食体を保護している(正しい)。
・軌道とはレールのこと。

暗電流

[暗電流ノイズ]
 フォトダイオードの近くの部品に、汚染されていたり不完全な結合であった等の欠陥が存在する場合、その部品のエネルギーバンド内には、欠陥準位が生じる。
 これにより、部品は、励起し易い状態となっており、スタンバイ状態のフォトダイオード等から生じる熱等により励起され、暗電流(励起により、部品から発生した電子に対応する正孔)が、フォトダイオードに流れ込む。
 これにより、フォトダイオードには、暗電流ノイズが発生する。

H21-2Q4(1)

[通信ケーブルの誘導電圧軽減対策など]
 強電流施設による誘導には、静電誘導電磁誘導の二つがある。
 静電誘導は、強電流施設の近傍で発生する現象で、その誘導源は電圧成分であり、通信ケーブルに遮へい用の金属シースを設けるなど比較的容易な対策で防護が可能となる。
 静電誘導を減少させる対策として、原因物から十分な距離をとる、接地を行う、地下化するなどの方法がある。
 一方、電磁誘導は、電流成分を誘導源とする現象であり、その影響範囲は広く、かつ、対策もかなり困難である。
 電磁誘導を減少させる対策として、強電流施設との相互インダクタンスを減少させる、遮へい係数を減少させる、大地に対するインピーダンスを高くして平衡度の改善を図る、遮へい線と通信ケーブル間の相互インピーダンスを増大させるなどの方法がある。
 電磁誘導の一例としては、1線地絡事故などで送電線に不平衡の大きな事故電流が生じた場合、地絡電流が大地帰路電流となって流れるため、隣接する通信線に異常時誘導縦電圧が誘起されるものがある。

通信線路H21-2Q3(2)(ⅲ)

[光合波・分波器の特徴など]
① 光合波・分波器は、波長分割多重方式などにおいて用いられ、波長の異なる複数の光信号を1本の光ファイバに挿入したり、逆に、1本の光ファイバを伝搬してきた波長の異なる複数の光信号を、各波長ごとに分波する光部品である(正しい)。

② 誘電体多層膜を用いた光合波・分波器は、ガラス基板に波長透過、反射特性のある金属酸化膜を蒸着した誘電体多層膜フィルタにより、特定の波長を選択するものである(正しい)。

③ ファイバグレーティングを用いた光分波器は、紫外線の照射により、光ファイバのクラッドコア内に、屈折率の高低を軸方向に周期的に付けたグレーディングを直接施しており、構造が簡易で小形化が可能な利点がある。一般に、光アイソレータなどと組み合わせて用いられる。

④AWG(アレイ導波路回折格子)を用いた光合波・分波器は、長さの異なるアレイ状の複数の光導波路から構成され、多光束の干渉を利用するものである。この光合波・分波器は、波長間隔が狭い高密度の波長分割多重方式に用いられる(正しい)。
・AWG(array wave guideか?)

通信線路H21-2Q3(2)(ⅰ)

[光ファイバケーブルの基本構造など]
① 光ファイバケーブルの抗張力体の材料には、鋼線、FRPなどが用いられており、鋼線は、FRPと比較して、ヤング率が大きい(正しい)。
・光ファイバケーブルの抗張力体の材料=テンションメンバ
・FRPとは繊維強化プラスチックのことをいい、ユニットバスなどに用いられる。
・ヤング率とは硬さの値を表す指標のことをいう。→鋼のほうが確かに硬そう。

②光ファイバケーブルは、外力や水などに対する伝送特性の安定、ケーブルの布設や接続の作業の行いやすさ、設備管理のしやすさ、浸水防止などの保守の行いやすさなどの機能を考慮したデザインにする必要がある(正しい)。

③光ファイバケーブルの構造において、ユニットスロット型は、テープ心線をあらかじめ成型した溝型のスロット内に収容することで高密度の実装が可能となる構造となっている。
・ユニット型光ファイバケーブル(以下の画像)は、複数のテープ心線をユニットとして、テンションメンバの周りに配置したもの。












④WBケーブルでは、ケーブル内部に吸水材を含んだWBテープが入れられており、ケーブル外被の損傷などにより生じた浸水が、ケーブル内部に広がることを防止する構造となっている(正しい)。
・WB(water blocking)

通信線路H21-2Q1(2)(ⅲ)

[伝送線路の減衰特性]
① 導体中を流れる電流は、その周波数が高くなると導体内を一様に流れるのではなく、導体表面に集中し、電流密度は、表面から深くなるに従って指数関数的に減衰する。この現象は、表皮効果といわれる(正しい)。

② 導体の抵抗は、近接効果などのため高周波になるほど増大し、また、漏れコンダクタンスも誘電体損失のため高周波になるほど増大する。これらにより、一般に、減衰定数は周波数の1/2(ルート)に比例して増大する。

③ 減衰定数を小さくするためには、抵抗と漏れコンダクタンスを小さくすることが必要であり、そのためには、導体径を大きくすること、絶縁物の誘導体損失を大きく小さくすることが有効である。
 ・漏れコンダクタンスG=ωCtanδであり、誘導正接tanδは、誘電体での損失割合を示す。よって、漏れコンダクタンスGは、誘導正接tanδに比例する。

線路における減衰量が最小になる無ひずみ条件は、RC=GLであるが、実際の伝送線路においては、RC<GLであるので、Cを大きくするかLを小さくすると減衰量は減少する。ただし、Rは抵抗、Cは静電容量、Gはコンダクタンス、Lはインダクタンスを示す。
 ・線路における減衰量が最小(ゼロ)になる条件は、R=Gである。
 (覚え方)
 お笑い芸人のRGは面白くない。だから、R=Gにして、お笑いの減衰量を最小にする必要がある。