2012年10月8日月曜日

通信線路H22-2Q2(2)(ⅲ)

[光ファイバの分散特性などについて]
① 材料分散は、光ファイバ材料の屈折率が波長に依存する特性を持っていることに起因する分散である、。材料分散の単位としては、一般に、[ps/nm/km]が用いられ、例えば、10[ps/nm/km]とは、スペクトル幅1[nm]の光が110[km]伝搬したとき、パルス幅が10[ps]広がることを意味する。
・[ps/nm/km]とは、、波長が1[nm]異なるふたつの単色光を1[km] 伝搬させたときの伝搬時間の差[ps]ともいえる。

② シングルモード光ファイバにおいて、光ファイバの構造に起因する分散を構造分散という。一般に、伝搬する光はコアだけでなくクラッドにまで光が染み出しているため、光の伝搬速度はコアのみを伝搬する速度とは異なり、伝搬する光の伝搬速度は電磁界分布の違いによって変化する(正しい)。

③ シングルモード光ファイバにおいては、その軸対称性のため直交する2方向に偏波した二つのモードが存在する。光ファイバのコアが理想的な真円でない、又は材料が均質でないことにより、これら二つのモード間に群遅延差を生ずるが、これを導波路偏波モード分散という。
・導波路分散とは、構造分散のこと。

④  分散は、大きい順にモード分散、材料分散、構造分散構造分散、材料分散である。マルチモード光ファイバにおいてはモード分散と構造分散そして材料分散が、シングルモード光ファイバにおいては構造分散と材料分散が、分散の大きさを決定する主な要因である。
・もう在庫がないよ!(モード分散、材料分散、構造分散

通信線路H22-2Q2(2)(ⅰ)

[光ファイバの損失など]
① 石英ガラスの吸収損失には、紫外吸収、赤外吸収などがある。紫外吸収はSiO2の電子のバンド間遷移による吸収であり、赤外吸収はSiO2などの分子の振動による吸収である。

② 光ファイバの製造時の高温状態時には密度の揺らぎ、すなわち屈折率の揺らぎが生ずるが、これが光ファイバに残留し、フレネル反射レイリー散乱が起こる原因となる。フレネル反射レイリー散乱は波長の4乗に反比例するため光の波長が長くなるほど小さくなる。

③ 石英ガラス系のガラス内の不純物である水酸イオンによって生ずる光の損失は、波長0.94[μm]、1.24[μm]、1.38[μm]などにピークがある。

④ マイクロベンディングロスは、光ファイバに側面から不均一な圧力が加わって、光ファイバの軸がわずかに(数μm程度)曲がるために発生する損失をいう。また、光ファイバを曲げたときに生ずる損失は、曲げ損失又はマクロベンディングロスといわれる。

通信線路H22-2Q2(2)(ⅱ)

[光ファイバ伝送における非線形現象などについて]
A 高強度の短光パルスが光ファイバに入射されると、光の電界で光ファイバ物質中の電子・の軌道が変化することによって屈折率が変化する現象は、ラマン光カー効果といわれる。
・ラマン効果とは、物質に光を入射したとき、散乱された光の中に入射された光の波長と異なる波長の光が含まれる現象をいう。

B 光パルス自身が誘起した屈折率変化により、その位相が急激に変化する現象は自己位相変調といわれ、光パルスは周波数変化(チャーピング)を伴う(正しい)。

C 二つの異なる波長の光信号を光ファイバに入射したとき、一方の光信号の強度変化によって生ずる屈折率変化により他方の光信号の位相変化が生ずる現象は、相互位相変調といわれる(正しい)。

通信線路H22-2Q1(2)(ⅱ)

[伝送系のひずみの種類、特徴など]
A 減衰ひずみは、伝送系の減衰量が周波数によって異なるために生ずるひずみであり、音声回線においては、その安定度を低下させるものである(正しい)。

B 位相ひずみは、伝送系の位相量が周波数に対して比例関係にないあるために生ずるひずみであり、群伝搬時間が周波数により異なるために生ずることから、遅延ひずみともいわれ、データ伝送などにおいて大きな影響を及ぼす。

C 非直線ひずみは、伝送系の入力と出力とが比例関係にないために生ずるひずみであり、波形ひずみの原因となる。搬送多重回線においては、非直線ひずみによる高調波及び混変調波の発生により、ある通話路からほかの通話路への漏話及び雑音の原因となる(正しい)。

通信線路H22-2Q1(2)(ⅰ)

[高周波領域における電気的特性について]
① 導体系では、周波数が高くなるに従って抵抗及び内部インダクタンスに変化が生ずる。これは、導体内部において、周波数が高くなるにつれて各部の電流が互いに作用を及ぼしあうことで電流分布が変化した結果であり、一般に、電気的特性として抵抗は増加し、内部インダクタンスは緩やかに減少する(正しい)。
・白い巨塔の東教授こと、東貞蔵(抗は加)

・インゲン(インダクタンスは少)



② 近接して平行に並んでいる2本の導体に電流が流れたとき、それぞれの電流が同一方向であると電流が外側に押しやられ、反対方向であると内側に引き合うことで2本の導体の電流密度が変化する現象が生ずる。この現象は高周波において顕著となり、一般に、近接効果といわれる(正しい)。
・高周波になるほど、電流の流れる箇所が小さくなり(電流の通路が狭くなり)、したがって、抵抗は増加する

③ 漏れコンダクタンスは、心線間の絶縁物を通して流れる電流の割合を示し、漏れコンダクタンスが大きい小さいほど漏洩する電流が大きく、一般的な平衡対ケーブルでは、周波数が高くなると急激に小さくなる。

④ 高周波では導体系の抵抗だけでなく、周囲の金属体中に誘起する渦電流によって電力損失を生ずることがあり、主なものにカッド損などがある(正しい)。


通信線路H24-1Q4(2)(ⅲ)

[光ファイバの損失測定法などについて]
① OTDRによる測定において光ファイバ長Lは、送信した光パルス信号が戻ってくるまでの時間をτ、光ファイバ中の光速をνとすると、L = τν/22τνで算出することができる。

② カットバック法は、被測定光ファイバからの出射光パワーをパワーメータで測定後、光源側の接続はそのままの状態で被測定光ファイバを光源側からカットバック長で切断し、切断位置での光パワーを測定するもので、被測定光ファイバの単位長当たりの伝送損失は、測定した光パワーの差分を被測定光ファイバ長で除することにより求めることができる(正しい)。
・カットバック法は、切断の必要があるものの、非常に高精度の測定が可能。

③ 挿入損失法は、基本的にカットバック法と同じ試験装置で測定が可能であり、光ファイバを切断することなく測定できるため、カットバック法と比較すると、精度は低いして高精度な測定ができる
・挿入損失法は、精度は劣るものの、切断の必要がない。

④ OTDRによる接続損失の測定において、光ファイバごとの減衰量透過係数のばらつきを補償するため、光ファイバの近端側から光パルスを入射して測定したデータと、遠端側から入射して測定したデータの平均をとる手法が用いられる。

通信線路H24-1Q4(1)

[光パルス試験器(OTDR)の機能、特徴など]
 OTDRの測定原理は、パルス発生器で発生した電気パルスをLDにて光パルスに変換後、光カプラを通して被測定光ファイバに入射すると、被測定光ファイバ中を伝搬した光の一部がフレネル反射やレイリー散乱によって入射端に戻ってくることを利用しており、この戻ってきた光信号を光カプラを介してAPDで電気信号に変換することにより光ファイバの特性などを測定するものである。一般に、入射端に戻ってくる光信号は微弱なため、計測に際しては繰り返し測定して得られた値を平均化する処理を行う。
 被測定光ファイバの距離は、実際に光ファイバ中を伝搬する光信号の速度と、光信号が入射端まで戻ってくるまでの経過時間から求められ、光ファイバ中を伝搬する光の速度は光ファイバの群屈折率により定まる。
 OTDRでは、光ファイバの伝送損失、光コネクタ接続点及び融着接続点の接続損失、光コネクタ部の反射減衰量などが測定できる。伝送損失は測定データから直線近似法の最小2乗法で、接続損失はフレネル反射点前後の伝送損失の差分から求めることができる。
 OTDRの測定におけるデッドゾーンには、反射測定(フレネル反射)デッドゾーン及び損失測定(後方散乱光)デッドゾーンの2種類がある。反射測定デッドゾーンとはフレネル反射のピークレベルから1.5[dB]での幅をいい、損失測定デッドゾーンとは光コネクタ接続箇所からフレネル反射の影響による応答波形で、真値から±0.5[dB]以下のレベルの箇所までの接続損失などが測定できない幅をいう。

H24-1Q1(3)(ⅰ)

[石英系光ファイバの分散について]
① 光ファイバの材料であるガラスの屈折率が光の周波数によりわずかながら異なるため、光ファイバ中を伝搬する光パルスの幅が広まる狭まる現象は分散といわれる。

② 光ファイバ中での分散には、材料分散、構造分散、モード分散及び偏波モード分散の四つがあり、このうち材料分散と構造分散の和は波長分散といわれる(正しい)。

③ マルチモード光ファイバにおいては、光ファイバ中を伝搬する各モードの伝搬速度が等しい異なるため、隣接するパルス間隔をあまり小さくできない。

④ マルチシングルモード光ファイバのゼロ分散波長や分散スロープを制御して製作された光ファイバは、総称して分散制御光ファイバといわれる。
・分散制御光ファイバ:シングルモードが対象
低分散1.31μm
低損失1.55μm
  ・分散シフト光ファイバ:ゼロ分散波長を1.31μmから1.55μmにシフトさせた光ファイバ
  ・分散補償光ファイバ:既存の1.31μmゼロ分散光ファイバを使用して、1.55μmの通信光を伝送したい場合、増加した波長分散を補償するための光ファイバ

H24-1Q1(2)(ⅱ)

[メタリック伝送路などにおける雑音及びひずみについて]
A 増幅器などにおいて、導体中の自由電子の熱的じょう乱運動により発生する雑音はインパルス性雑音といわれる。インパルス性雑音を避けることは原理的に不可能であり、全周波数に対して一様に分布していることから白色雑音ともいわれる。
・熱雑音=白色雑音(ホワイトノイズ)

B 伝送系の減衰量が周波数に対して一定でないために生ずるひずみは、減衰ひずみといわれる。音声回線において、特定の周波数で減衰量が特に少ないと、その周波数において鳴音が発生しやすくなる(正しい)。

C 伝送系の入力と出力が比例関係にないために生ずるひずみは、非直線ひずみといわれ、波形ひずみの原因となる(正しい)。

H24-1Q1(2)(ⅰ)

[メタリック伝送路における漏話など]
① 漏話を生じさせる側の回線は誘導回線、漏話を受ける側の回線は被誘導回線といわれ、被誘導回線において、誘導回線の送端側に生ずる漏話は近端漏話、誘導回線の受端側に生ずる漏話は遠端漏話といわれる(正しい)。

② 電結合による漏話は誘導回線のインピーダンスに比例し、電磁結合による漏話は誘導回線のインピーダンスに反比例する(正しい)。
・周波数と特性インピーダンスは反比例
周波→特性インピーダンス高い→電結合が支配的
ロシアの害者(覚え方)
・高周波→特性インピーダンス低い→電磁結合が支配的

③ 平衡対ケーブルの場合、一般に、誘導回線と被誘導回線のインピーダンスは等しいので、特性インピーダンスが高くなる低周波では静電結合による漏話が支配的であるが、特性インピーダンスが低くなる高周波では電磁結合による漏話も考慮する必要がある(正しい)。

④ 漏話減衰量は、誘導回線の送端電力と、被誘導回線の漏話電力(漏話量)の比の対数で表され、漏話電力が大きいほど漏話減衰量は小さく大きく、漏話電力が小さいほど漏話減衰量は大きい小さい
・電力=V×I
http://tough-swingfx.blogspot.jp/2012/10/h21-1q12_6.html

線路設備H21-2Q3(1)

[線路設備の安全作業など]
 線路設備は、ほとんどが屋外に設置されており、保守、点検などの作業は、屋外で行われる場合が多い。このため、危険を伴う作業が多く、特別の注意が必要となる。
 線路設備の保守、点検作業を行う際においては、重要な事項として、マンホールなどの地下設備へ入る前に酸素濃度及び硫化水素濃度を測定する必要がある。酸素濃度が18[%]未満であったり、硫化水素濃度が10[ppm]より高い場合は人体に悪影響を与えるため、酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習を終了した酸素欠乏危険作業主任者の指導のもと、十分に喚気し、酸素濃度及び硫化水素濃度を測定して、安全を確認した後、保守、点検などの作業を行う。
 また、電柱などの高所における保守、点検作業では、ヘルメット及び安全帯の着用が必要であり、高所作業車を使用する場合は、作業床の高さが2[m]以上10[m]未満にあっては、高所作業車運転特別教育、作業床の高さが10[m]以上にあっては、高所作業車運転技能講習を受ける必要がある。
・作業床

線路設備H23-1Q3(2)(ⅰ)

[労働安全衛生法に定める内容など]
① 高所作業車を使用して行う作業は、作業床の高さが2[m]以上10[m]未満の場合には高所作業車運転特別教育を受けた者、10[m]以上の場合には高所作業車運転技能講習を終了した者により実施されなければならない(正しい)

② 電柱における登り幅とは、架設物を取り付けない空間であり、安全に電柱昇降したり、作業するために設けられた空間である(正しい)

③ つり足場などの足場の組立て等作業主任者は、足場の組立て等の技能講習を終了した特別教育を受けた者のうちから、選任されなければならない。

④ 高さ2[m]以上で保守作業を行う場合、墜落により危険を及ぼすおそれがあるときは、作業床を設けなければならない。作業床を設けることができないときは安全帯を使用するなど、作業者の安全を確保しなければならない(正しい)

線路設備H23-1Q2(2)(ⅲ)

[橋梁添架設備の腐食など]
① 海岸地域では、橋梁添架設備の腐食が多く発生しやすく、その補修には塗装による方法が採られている。橋梁添架設備の塗装替えには、一般に、細部まで十分に塗装ができていないといった問題がある(正しい)

② 塗装替えに伴い塗装の耐久性については、素地調整(ケレン)の程度、塗り重ね回数、塗料の種類などが直接影響を及ぼすが、施工時の品質管理の良し悪しにより左右される度合いが大きいといわれる(正しい)

③ 半割管を用いた橋梁添架管路の腐食補修は、腐食管を撤去した後にの上から半割管を装着する工法であるため、ケーブルを布設替えすることがなく、簡易に補修できる方法である。

④ 半割管を用いたケーブル引上げ管の腐食補修は、腐食した引上げ管路を撤去した後に半割管を装着する工法であるため、ケーブルを布設替えすることがなく、簡易に補修できる方法である(正しい)

線路設備H23-1Q1(1)

[光ファイバの接続方法]
 光ファイバの接続方法は、利用形態や環境に応じて多様な方法が実用化されており、一般に、融着接続、メカニカルスプライス及びコネクタ接続の3種類に分類される。
 融着接続は、光ファイバ端面を溶解して接続する方法で溶解には幾つかの手段があり、一般に、接続の容易さ、信頼性、経済性などの面からアーク放電による溶解が用いられている。また、光ファイバの融着接続部において、光ファイバ心線の被覆は完全に除去されており、機械的強度が低下しているため、一般に、熱収縮チューブにより被覆除去部を覆う補強方法が用いられている。
 メカニカルスプライスは、V溝などを形成した接続部品を用いて機械的に光ファイバを把持する接続方法である。メカニカルスプライスは、一般に、屈折率が石英系ガラスとほぼ同じ液体又はジェル状の屈折率整合剤を接続部品の中に入れ、端面間の空気層を除去する方法が用いられている。
 コネクタ接続は、着脱が容易なコネクタを用いる方法で、一般に、フェルール型光コネクタが用いられている。単心光ファイバ用の光コネクタの場合、フェルールは、光ファイバのコアの中心を光コネクタの中心に設定するための部品であり、このフェルールどうしを、割りスリーブをガイドにして精度良く突合せ接続することができる。一方、多心光ファイバ用のMT光コネクタの場合、フェルールの突合せは、ガイドピンをガイドとしている。