2012年10月1日月曜日

専門H21-2Q2(1)

[光ファイバにおける非線形光学現象について]
 光を固体に入射すると、光の電界がその固体を形成している個々の原子の中の電子を振動させ、あたかも入射した光が透過したようにそれと同じ周波数の光が放出される。しかし、高強度の光を入射すると電界の振幅と電子の振動振幅とが比例しなくなり、入射光の電界が正弦波のとき、電子の振動は正弦波からずれてしまう現象が生じ、異なる周波数成分を持つようになる。この現象は非線形光学効果といわれる。
 非線形光学効果は、単位面積当たりの光強度と相互作用長の積に影響され、断面積が小さく、全長が相互作用長となっている光ファイバにおいては顕著に表れる。
 光ファイバに高強度の光を入射すると、屈折率が光の電界の強度の2乗に比例して変化する現象が生ずる。この現象は光カー効果といわれ、入射された光自身が誘起した屈折率変化によって、光の位相が急激に変化する自己位相変調を生じ、この結果、短光パルスのスペクトルの広がりが生ずる。
 特に、波長多重伝送など大容量の光伝送において障害となる非線形光学効果として四光波混合といわれる現象がある。これは、異なる三つの波長の光が入射されたときに新たな波長の光が生ずる現象で、波長多重伝送では、特定の信号光に干渉して伝送品質の劣化を引き起こす。

専門H21-2Q4(2)(ⅳ)

[設備劣化とその対策など]
① 地下ケーブルのポリエチレン外被に生ずる環境応力亀裂(ESC:environmental stress cracking)は、一般に、ケーブルの円周方向に発生する。ESCの発生要因としては、高温、塩素イオンアセトン、アルコールなどが挙げられる。この対策としては、ケーブル布設時に外被に傷を付けないことがある。
・ESCは、アセトン、アルコールなどの物質の膨張圧力によってポリエチレン分子の結合力が破られて発生する。
・ESCを防ぐ方法としては、分子量の多いポリエチレンを使用する、ケーブル布設時に座屈を生じさせない、管路清掃を行いケーブル外被に傷が付かないようにする。

② 寒冷地において、ケーブル引き上げ点、橋梁添架などの管路が大気中に露出している箇所で管路内の溜水が凍結すると、体積膨張によりケーブルに過大な力が働き、傷や座屈が発生することがある。対策方法の一つとして、PEパイプを挿入することにより、凍結圧をPEパイプで吸収する方法がある(正しい)。
・PE(ポリエチレン)パイプ


③ 管路に布設されたケーブルが移動する原因として、車両通行に起因する振動がある。このケーブルが移動する現象は、ケーブルクリーピングダンシングといわれる。この対策として、機械的にケーブル移動を止める方法やケーブル移動量に見合ったケーブル余長を設ける方法などがある。

④ 架空ケーブル及び地下管路ケーブルのうち特に橋梁添架管路区間など、温度変化の激しい区間では、ケーブルの温度伸縮によりケーブル接続部が破損する場合がある。この対策として、ケーブルクロージャのケーブル挿入部に、ケーブルの伸縮を吸収するための伸縮見合い(のスラック)継手を設ける方法が採られている。
・スラックとは、たるみのことをいう。

専門H21-2Q4(2)(ⅲ)

[架空構造物の腐食など]
① 吊り線(アルミ防食鋼より線)とアースクランプの間に腐食生成物や異物が蓄積すると電気的接続が不完全になり、表面に付着した水分を介して電流パスが形成され、極となった吊り線が電解腐食により溶出し腐食が進行する。

② 架空構造物の金属材料は、工場や自動車から排出される多量の大気汚染物質により大気腐食が著しく促進される。例えば、亜硫酸ガス、二酸化窒素、塩素などの溶性ガス類は、金属表面上の水膜に溶け込んで腐食を促進する。

③ コンクリートポールは、中に含まれている水分が、温度が下がると凍結し、温度が上がると融解することが繰り返されると、表面上にちりめん状や亀甲状のひびや、縦ひび割れなどが生ずることがある(正しい)。

④ 鋼管柱では、張り紙防止シートや番号札の裏側にすきま腐食を起こすことがあり、この場合の補修方法としては、ポリウレタン系塗料及び酢酸ビニルニトリルゴム系接着剤を使用する、